天塩川の流れ、川音、景色に、いつも心満たされる。
春の増水・夏の渇水・秋の紅葉・冬の雪の中すべての季節に川を下るたび、新しいものを発見する
それは生き物であったり、遠い開拓の頃の写真に写っていた川原の岩だったり。
橋を越えるたび力がみなぎり、瀬の大きな波を超えるたび命を感じる。
仕事が忙しい程、川下りを夢見てしまう。
僕にとっては「癒される大河・天塩川」
僕の好きな天塩川とカヌーツーリングに興味を持っていただき、ありがとうございます。みなさんにとってはどんな天塩川ですか?
皆さんに天塩川で安全にカヌーツーリングしていただくために、少しだけ覚えてほしいことがあります。
天塩川の「ダウンザテッシオペッ100マイルカヌーツーリング大会」は これまで30年間以上でのべ「5000人」以上の仲間たちが参加しました。 (スタッフ人数は入っていません) そして4年に1度のスペシャル大会(一気に100マイル)では「400人以上ののテッシマスター」(このツアーで100マイル天塩川下ったと認定された人)が生まれました。 なぜ4年に一回なのかお分かりですか? 3年間のショートツアーの中でスキルアップしていただきたいのです。 カヌーや自然に対しての力を磨いたうえでこそ「4年に一度のスペシャル」に参加できるスキル=資格が育つと考えているからです。 スペシャルはその名の通り!カヌーの技術を持っている人でも過酷な大会になります。 160キロを目標にスキルや経験を養ってきた人の大会です。 初心者がいきなりアイアンマンマラソンやトライアスロンにでるでしょうか? 初心者がいきなり極地探検に出るのでしょうか? 初心者がダウンザテッシなら出られるのでしょうか? 川の上で・嵐の中で・向かい風の中で初心者がまぎれていれば、大会の危機がそこにあります。自分を守るのが精いっぱいな時にあなたは守れません。 セルフレスキューファーストがアウトドアの鉄則です。 そのためにセルフレスキュー出来ることが参加資格なのです。 カヌーの列が前後に伸び声が届かない、時には見えないくらい離れます。 先行する力ある参加者も、後方を支えるボランティアスタッフも技術のない初心者を助けるため消耗してしまいます。 そうなるとこの大会は一人の初心者が紛れたことで「大会の開催自体難しく危険」になるのです。 参加するとき自分で自分を守れる力「セルフレスキュースキル」があると申告しました。 参加規程を理解したことを証明するのは「自己申告」です。 私は間だ合っていないあなたをこの申告で「仲間として信用」します。 あなたは自分だけではなくその宣誓で仲間や主催者を守る事を真摯に自覚したことを証明していると私は考えます。 1度も大会に出て来られず「スペシャルにだけ出たい」と言えるのはきっと僕以上にスキルがある人でしょう。 (ただし経験ある道外や海外の人はこの限りでは無い。すごい決意で遠くはるばる来るのだから) 初心者が講習も参加せず、単独で出ることは僕からいえば不思議でそれ以上に危険なことなのです。 ですから間違って参加した方がいたとしたら、安全のために今まであまり使っていなかったスキル不足による漕艇中止や危険行為での失格を適用しようと考えています。 スペシャル大会の前にはショートツアーに出てここで力をつけてスペシャルの備えましょう。 もうみなさんはすでに、ダウンザテッシは「バスに乗ったり、名所旧跡を歩くツアー」とは違うと!感づいていると思います。 当然 水路を選び岩を自分で避け、自分でカヌーを隣町まで一日漕ぎます。 変化する気象の中、疲れた中で、自分のことは 自分でしなければなりません。 それを2日間(またはスペシャル大会で4日または5日間漕ぎ)続けるのです。 自分で設営したテントに泊まり、食事も作らねばなりません。 グループなら分担も出来るのですが、家族の場合は、船長であるお父さんが全て担当することにもなります。 でも、先を争うレースではありません。 自然に負荷を与えない「エコで、贅沢な日本で唯一のロング・リバーツアー」です。 このようなスタイルの「ダウンザテッシオペッスペシャルカヌーツーリング大会」は「アウトドアの集大成」なのです。 |
しかし一見穏かに見え、誰にでも下れそうに思われがちな天塩川ですが 「判断力・天候・経験・技術・用具・体調・気持ち等」様々な要因で 「最強の自然」を相手にすることとなります。 残念な顔でリタイヤする参加者も大勢見てきました。 自身でスキルアップし、万全な体調で準備しなければ明るい顔で参加はできません。 そのためにも実行委員会では事前講習会を開催し大会スタッフの母体となるHCCCではクラブ員向けツアーをし技術アップの機会を作っています。 安心して参加するならスキルを上げ仲間を作るべきです。 毎年の区間を重ねて100マイル漕ぎ、スペシャルで一気に100マイル漕ぐという目的を達成し、ゴールに辿り着き、充実感を味わうには、どんな準備をすれば「より安全に、楽しく」この大会に参加できるでしょうか? 安全をテーマに予習・復習してみましょう。 |
はじめに まずは最初に自問してください「何故?」「カヌーツーリングをするのか?」 有名な登山家は「なぜならそれがそこにあるからさ」と答えましたが、それは日々の努力と、知識と、技術が備わっての言葉です。 年数回、休日だけのカヌーイストは「そこにそれがあって」も難しい事です。 「そこにそれがあって」も技術がなければ、安全にたどり着けないのです。 |
カヌーに求めているものは楽しさでしょうか? 楽しさを味わうために、万全な準備をしているでしょうか。乗り越えることができて、スリルを楽しめるのです。乗り越えられるかどうか全く予測できない時は「恐怖」といいます。 乗り越えるためには、技術が必要です。 |
大事な人をいきなりカヤックに押し込んで、川に流すでしょうか? そんなことをすればどんな結果になるか、すぐにでもイメージできますよね。 それは楽しみではなく 恐怖です。 そんなことをしたらカヌーどころか、あなたまで嫌われてしまいます。 誰かを連れ出すなら、相応の準備が大切です。危険への対処を知り、技術を身につけてこそ初めて誰かを連れていけるのです。求めているものは「一か八か」の冒険ではなく「安全に終わる」という結果が前提の「体験=ツアー」です。 |
安全を裏付けるために、あなたが漕艇技術を高め、カヌーを整備し、コースを知り、細かな出来事に対する判断力を身につけなければならないのです。 事故とは、予測できない場合に起こるのです。 はじめから「この先どうなるか分からない」というのは 「危険とわかっていた」と同じ意味です。 そうなると危険は必然で、事故ではなく事件です。 |
漕艇の技量や野外生活での判断力がない人が、家族を巻き込んでカヌーでツーリングするということは、子供を乗せていれば虐待で、 奥さんならDVです。 「危険とは何か?」を理解し対処できる力を持つことが大事です。 危険のイメージが頭に浮かぶ人は、すでにアウトドア度が高いということです。 アウトドア度が高いということは「家族を守る」父親の条件です。 それではアウトドア度が高いオヤジになるために、自らを助け守る力について考えましょう・・・・おっと彼女でもいいのですが・・ |
恐怖の釧路川事件 はじめてのDTが終わった遥か昔しの夏、まだ若くて余力に満ちていた僕らは釧路川で夏休みを過ごすことになった。 川下り前日は、お盆で満員さらに大雨にたたられ真っ暗なキャンプ場でテントを立て、どしゃぶりのキャンプ。 翌朝早く眺湖橋へ、さすがに有名な地、何人かがもうすでにカヌーを準備している。 僕らは自分たちの船を下ろす。 今日は地元の人の好意でツアー終了後トランスポートしてくれるということもありゆったりな出発。 昨夜の雨は打って変わって穏やかな青い空、屈斜路湖から眺湖橋に流れる水も濁りはなく澄んだまま。 「少し変?」と感じたのは、眺湖橋をくぐるとき、何時もより頭を下げなければならないこと。 しかしあまりの水の綺麗さにすぐ忘れていた。 でもこの事こそ、その後の重大な出来事を示唆していたのです。 |
問1 なぜ眺湖橋をくぐるときに、何時もより頭を下げなければならなかったのでしょうか? |
その後DTで知り合ったグループに偶然出会い、船団を組んで右左に向きを変える釧路川の進む、まるで密林の中を流れる釧路川上流を、あまりの心地良さに笑いながら下っていた。 途中突き出した河畔林をやり過ごし、透き通ったり青く澄んだ淵に魚影がないか探したりときれいな釧路川に目を奪われていました。 |
問2 なぜ河畔林が、突き出しているのでしょうか? |
途中後ろからの大きな歓声、ラフトの集団が次々流れていく。そうこうするうちに前からキャ━━━━!!の悲鳴 ラフターの歓声とは少し違う。突き出しだした樹の幹にファルトが引っかかっている。 |
問3 なぜ木なんかに引掛かったのでしょう? |
2人挺のペアが前後に乗ったまま早い流れに藪に押しつられ、そのまま船を流さないぞと木にしがみついたのは良かったけど、水圧が強くそのまま押され首も掛かって脱出できないでいる様子。 見ればキャンプ道具にテントまで全財産入ったファルトは潜水艦のように先端が重さで沈んでる。 荷物を流したくなかっただろうけどね。 |
問4 なぜ荷物を積んでいたのでしょう この件は時代背景と当時大人気作家‘某●田氏のライフスタイルの真似が関係する |
とっさに手でつかんだのがどんどん押され、首を引っ掛けるくらいになるまでどれ程時間だろうか・・・ でも先行したはずのラフトが気がつかない事はないので、今しがた直ぐのことかな |
さてレスキューの始まり。 ファルトに足を入れたまま、木に肩を入れてしがみつく彼をそのままに、まずは水に沈んだ前席にいて悲鳴を上げている彼女を引き出し、その後は後席の彼氏を、船を少し後ろに前から押し首を離し、そのままぐいと前に押し出し・というか蹴飛ばし・・救出。 (沈脱していたほうがこの場合安全だっかもよー・・・でも荷物が・・そう? でも命が一番じゃない・・・はい・・)ということでこれは解決 以降、僕は大切なモノはカヌーには積まない主義、だっていつでも沈する覚悟でないと、思わないところでの物欲が危険を倍増してくれる。 その後もグルングルン転がってくるカヤックとか救助し、集団が大きくなる。 レスキュー活動中パドルを無くした人もいて 愛用のダブルパドルを貸しシングルパドルだけになる。 マーでもカナディアンカヌーはシングルがあたりまえだから なんて自分に言い訳したのだが、あのパワーは当時の技術のない自分にはシングルパドルでは出せないなにせ4人乗りを一人で漕いでいたので。 |
しかしこれが最後に控える重大事件の発端であることはその時は誰も知らなかった。 |
レスキューが完了し誰も怪我もなくとてもいい気分。だれしも不沈艦と言ってくれる大きな船に、僕は4人で乗り先行。 しかし倒れ掛かる河畔林やカーブで先が見えない |
その時なにか異常な流れに気がついた。 川の中心をトレースして漕いでいたはずなのに、何故か水の圧力が強すぎて行きたくない岸壁の方に押されている。 それも深い水深から太い木が突き出している所に。 |
いくら力を込めて漕いでも カヌーを少し傾けても木に寄せられていく そしてあっという間に・・といかまるでスローモーションのように 水圧で木にぶつけれれ そのまま挺はお椀を返したようになり、 僕らはカヌーから投げ出された。 |
問5 水の特性はなんですか |
一度水の中に落ちると、底まで一気に引き込まれる。 ぐんぐん青い美しい水の中に沈む。 川底でキラっと大きな魚影が逃げていくのを見たような気がする。 僕は沈みながらも、まだ小学校入学前の長男の青いジャケットを探した。 すぐに横を登っていく多量な泡の中に見つけ、しっかりとつかむ。 泡を追いかけ、明るいところを目指して片手で掻いて浮上。 途中流れていくパートナーの長くつを見た。 顔を上げるとキャ━━━━!!と叫びながら流れていくのを見かけたが、仲間も多く 大人だから岸には上がれるだろうと思った。 安全な岸に 長男を押し上げると、僕はもう一度水の中に入る。 なぜなら僕にはもう一人探さなければならないから。 きっと軽いから僕より先に流されたのかと、数艇の仲間に先行してもらう。自分は樹の根元にかかっていたらと、再度水中に飛び込む。 水圧に押され上流側を目指せない。 いっそジャケットを脱いで飛び込もうとしたとき、もう一艇同じところで横滑りになり木に当たり後続の親子艇3人が投げ出された。 彼らは自力であがり捜索を手伝い始める・・・。しかし水の中にも先行するカヌーからの情報にも「居た」との答えが聞けない。 たった数秒かもしれない、 数分かもしれないけど・・・僕には長い時間のような気がした。 その間も、水に飛び込みながらも頭の中には最悪の風景が映し出される。 |
その時1ガサガサ 上流の陸の上から釣り人が川に出てきたのが目に入る。 ちょうど彼の足元に僕の青いカヌーが、まだお椀を伏せたようになったまま岸に押し付けられている。 浮力袋の入ったカヌーはガンネルだけが水に着くだけでしっかり浮き上がっている その時2・・・なんだか泣き声が聞こえたような気がする。 でも僕は直ぐにはそこにはいけない川は水圧で上流に行けないから。 |
僕は釣り人に声をかけ、カヌーの中を確認してもらうように頼んだ。 |
彼は軽々とカヌーを表に返すと、 奇跡は起こった。 センタースォートのところから、片手にマーブルチョコレートの箱をしっかり持った2歳の次男が現れたのだ。 釣り人はびっくりして竿を落とし、代わりに次男を抱き上げてくれた。 |
この日を境に道が二つありました。 それは辞めるかか真剣にやるか 僕が選んだのはレスキューを真剣に考え技術を磨くこと。 それは自分だけではなく家族や仲間を守るからです。 カヌーは転び沈するものです。それを忘れてはいけません。 |
セルフレスキュー カヌーでは、ひっくり返ったなど、危険がある時に、自分で自分の身を助けることをセルフレスキューといいます。 エスキモー・ロールや、再乗艇などが、これにあたりますが、でもわたしたちダウンテッシ実行委員会は、エスキモー・ロールは求めていません。求めている力は簡単に言うと |
自分で判断して自分を助け、無事に家まで帰れるか?の力です。 子供を伴い、または誰かを誘って川に出るとき、その人の安全をリーダーとして守る力(判断力や技術)や責任があるか?ということです。 |
どんな大会参加資格の中にも「セルフレスキューできる方」という項目があるはずです。 私たち主催者にとっては大事な項目なのですが、多くの参加者にはこの「セルフレスキューできる方」という項目はお題目ではなく、時としてご理解いただけているのか不安になる時もあるのです。 顔が見え、一緒に乗ると技量や理解度が分かりますが メールや電話で問い合わせられカヌー歴を伺っても 「えーと、年に2回くらい家族で湖に行きカヌーキャンプをしています。カヌー歴にすると10年です、ベテランでしょう」とか 「美々川が好きでいつも行っているので、天塩川も大丈夫です」 と言われても・・・どう受け取って、どう考えていいのか・・・。 「物差し」が違いすぎるので困るのです。 最近、 時折、僕らが若い頃漕いだ「懐かしいカヤック」を見かけます。 「大事に漕いでいるんですね、先輩ですね」と声をかけると・・・ 「イヤイヤ!そんなことはなく最近オークションで落としました!」 なんて返事をいただきます。 そうか最近始めたんだエライエライ、 道理で安定しないでフラフラ漕いでいました。 よく話を聞いてみるよとフットブレイスの存在自体知らず、カヤックの中で真っ直ぐ足を伸ばしていたんです。 そうか新挺を買えば販売店でスクールあるけど、中古をネットで買うと乗り方指導なんて受けてないんだ。 フットブレイスと膝でホールドすることと、足先けりだすように艇を押す事をお話しすると「アレ?全然今までと違い・・・楽!」と喜んでいただけました。 年を重ねると人の話を聞いたり、習うのはなかなか上手にできませんが、でも基本的なカヌーイングを知ることは「安全」と身体に楽な漕艇に結びつくのです。 しかし自転車を買うようにカヤックを買うなんてね・・・怖い怖い、 自動車教習所に通うようにカヤックはクラブや先達に教えてもらうべきです |
さて「セルフレスキューできる方」の項目では、私たちは2種類の力(レスキュー技術)を問うています。 1. 状況を判断できる力があるか? 2. もう一つは安全に対応できる技術的力量があるか? |
それではまず長い道のりですが 「1.状況を判断できる力があるか?」の力を養うため判断基準になる様々な「危険」を知りましょう。 |
第1章 危険を知ることで、より安全に |
カヌーツーリングをより安全に行うためには、 危険に関する知識をもつことが必要です。 危険を知り、避けるための方法を事前に考えてみましょう。 |
危険予知と対策の徹底 想定できる危険を予知し、対策を講じておきましょう。 データーの蓄積や情報を得、仲間と共有し、避難訓練のように技術を訓練し、万一の事態に備えた準備をしておく必要があります。 |
ルール・マナーの遵守 多くの人の中では、道具の扱いひとつとっても事故につながることがあります。 雨の日の行き交いには互いに傘をそらすなど、日本人は古くから人と接する「阿吽の呼吸」の所作を身につけてきました。 「法律や規定」があるから守るのではなく、守ることであなた自身の安全が守られるのです。 相手は自然「畏怖と敬意」が大切です。 |
カヌーの常識・非常識を知り、ルールやマナーを考えましょう。 |
自分の身の安全は自分で守る 「責任の意識」を持つことは、非常に大切なことです集団心理で誰かの後についていくのではなく、自分で判断することが大事です。 大会でよく見かけるのは前の船について漕いで行く内に、長い縦列では徐々に後ろの振り幅が出てきて列の後ろでは河畔林ぎりぎりになりそのうち木に絡んで沈脱なんてこともありました。またコースになので蛇行が大きくなり、先の見えない曲がりで先頭は安全な左岸を通ったのに後半の集団は一番避けてほしい危険な左岸を通って沈多発など 自分で、地形や水の流れを自分で判断せず前についていくことはほんとに危険なのです。 |
最後は、安全が最優先! 万全の対策や準備をしたつもりでも、予想外の事態に出くわします。 自然相手では、時には中止や変更の判断をしなければならない事もあるでしょう。 まして昨今の異常気象・気候変動は「例年」という言葉が通用しなくなりました。 体力や漕艇力は人それぞれ違い、苦しくなったり、故障する前にリタイヤすることは何ら恥ずかしいことではありません。 再チャレンジの機会は、必ずあります。 最後は「勇気ある撤退」も含めて、安全を最優先させましょう。 |
以上が考え方です。 それでは危険とは具体的にどんなことでしょうか。 |
危険の種類 危険の種類には、おもに次の2種類があります。 (1)顕在危険‥‥明らかに把握しやすい危険。 例:黒い雲、急に濁った川、落ちているガラス片など (2)潜在危険‥‥見落としがちだが、潜行している危険。 例:整理不十分なキャンプ道具、保守点検不足のカヌー道具、まとまりのない雰囲気 |
第2章 具体的な危険
1.気象状況の把握
いつもの様子を知り、いつもと違うことや変化(水位・水温など)に気を使うことが大事です。
今年は水が多いとか、昨年は渇水など例年という言葉が通じなくなってきています。現地の長期の天候変化は地元の人との会話からわかるものです。
常に自分たちグループで何事も完結するのではなく
「地元の人」にもっと近づき、様々な角度からの情報を仕入れましょう。
最新の予報については、ネットを利用して充分に情報収集し、前後1週間程度の情報を得て、フィールドの状況をつかんでおきましょう。 大雨・大水・天候不順などでの水位上昇、水温の変化・風の変化に気を使いましょう。 上流・中流・下流では天候も風の向きも水温も、時として「季節」までが全然違います。 |
さまざまなサービスを利用しましょう |
●北海道開発局 雨量・水位・水質・積雪■テレメータ/上川北部 携帯電話用 QRコードを読み込んでください。 |
●北海道防災情報 登録すると気象警報などが出た場合にメールが届きます http://www.bousai-hokkaido.jp/mobile/ |
●Yahoo!天気情報 ピンポイント名寄天気http://weather.yahoo.co.jp/weather/jp/1a/1200/1221.html |
2.危険箇所の再確認 |
スカウティング(偵察)をしましょう。 |
見ることができるところは危険ポイント以外でも陸からでも川からでも、全部見ておきましょう。(川のそばを歩くときはPFDとヘルメットが大事です。)見てないことが大事に至ることが往々にあるのです。 その時見ることは「瀬」のポイントは何処から入って何処へ抜けるのか。 きっかけの場所と進行方向などや安全なラインで行くのか楽しめるラインで行くのか話しあってください。 |
昔は男ラインと女ラインなんて僕らは言っていましたが、果敢にチャレンジするコースと、障害物や水流の影響のない安心な初心者コースを分けるのも、川の見方ができるようになります。 でも果敢にチャレンジする時はいつでも仲間がレスキュー体制を取ってくれるからで、単独では安全コースを行くことにしましょう。 |
仲間と話し合うことで自分見えなかった危険や安全コースが見えて来ます。 沈したら何処に流れるか、瀬の中、瀬の後に危険物はないか。 レスキューの配置場所や人数など確認しておくのが大事です。 |
天塩川はテーブル状の岩盤や様々な形の岩が河床一面に広がっています。 流れはたいしたことがなくても、沈し、流され、立とうとしたとき足が岩に挟まる(フットエントラップ)場所がザラにあるのです。(風連20線下流・美深大橋下流など) |
季節により水位に差が出き、流れも変化します。 春の雪解けや大雨の洪水期には川幅も広く障害物を隠して「どどっ」と流れていることもあり、真夏の渇水期には中島が様々なところに生まれ、同じ幅の川底のゴロゴロ石の間を小川のように蛇行して流れている時もあります。 楽しい瀬も渇水期はザラ瀬になりいたる所で岩に乗り上げようになり、コースを探すのは大変、同じところを降下するのに増水期の2倍くらい時間がかかることもあります。 川のそばの道路を通過することがあれば、橋や土手から見てイメージを高めましょう。(でも安易に橋の上で車をとめないでくださいね、交通障害になります) 水の下の隠れ岩や石の形などは偏光サングラスで確認する事ができます |
大会を始めたころ私たちはいつも下っているコースも大会のために 直前最低3回(前週・前日・そしてスタート前の早朝)下って偵察していました。 当日朝には前週とは、川の姿が全く変わっているのですが。 「えっ!?ということは・・・大会当日は参加者の倍下ったのですか?」 「はい。だから開会式には頭もボサボサで、汗臭かった・・・。」 「それに時々開会式に遅れそうにもなりました」 「その時の海の地方の仲間があだ名を付けてくれました・・鉄人!」 しかし「今では油人です」 そんなことはどうでもいいのですが、下見は大事なのです。 |
ところで、天塩川カヌーマップを希望者には配布していますが、 これは数年がかり、様々なシーズンを通して調査した結晶です。 |
主に調査したのは僕だったりして。 一銭にもなりませんでしたが、唯一財産は、ポイント名をつけたとき、考え詰まって子供の名前をポイント名として川地図に遺したことです。 でもそんな自分でも毎年下るたびに、違う川の姿に出会うのです。 たとえば大水の影響で同じ堤防内でも川が違った方向に蛇行していたり、倒木や大岩が現れ、流れが変わっているところなどもあります。 最近では山から大水で大量に流れた砂利が河床を浅くしているところもあり、毎回驚きの連続です。 |
危険ポイントを押させて安全な通過、または水との触れ合いを楽しんで 下さい。 大会ではポイントレスキューチームがピンクや黄緑のゼッケンを付けて現地で指示や安全管理(ロープレスキューなど)に備えています。 |
天塩川の主なポイント |
名前 危険箇所 安全策 |
1. スーポロの瀬 |
増水期 右回りのざら瀬、後2段のテッシ波左側浅い 央より進入、右曲部で内側を通り中央波高い所に入る |
渇水期 全体に浅い勾配があり早い水で船体が回される中央寄り右新入右寄りで曲がり出は中央水深深い部分 |
http://www.youtube.com/embed/qcZsfa3wzgM?rel=0 |
2.東恵橋 |
右旧橋脚鉄骨露出浅い右から左に流れの芯に旧橋脚左側清美の瀬に入ること |
http://www.youtube.com/embed/y8AqZNHxoM8?rel=0 |
3.前半東恵橋 後半紋穂内テッシ |
4.恵深橋 |
① スター後の橋脚 その後の右岸高波② スタート後すぐに中央本流に入ること |
5.六郷テッシ |
左岸側入り組んだテッシ大岩水の少ない時は右岸で回避 |
http://www.youtube.com/embed/DIKBtX9stYk?rel=0 |
7.美深大橋 |
8.紋穂内テッシ |
2. 恩根内テッシ http://www.youtube.com/embed/opFBZJyPccg?rel=0 |
9.小車の瀬 |
10.楠の瀬 http://www.youtube.com/embed/BsoeKfwhRks?rel=0 |
11.斜めテッシ http://www.youtube.com/embed/ua3Mblx_F3M?rel=0 |
12.豊清水の瀬 |
ロート状の先にスタンディングウェーブ・複合波流れは左から右に入り大砂利岩で形成された岸に当たり左に抜けている流れの通り三角波の中はいる流芯が蛇行しているので方向を変えなければなら終わり頃のでない |
http://www.youtube.com/embed/1iZjGFezVro?rel=0 |
13.天塩川温泉 |
14.物満内の瀬 |
15.命名の地 |
16.チニタの瀬 |
17.カムイの瀬 |
18.佐久橋 |
19.誉大橋 |
20.新問寒別橋 |
21.雄信内大橋 |
22.天塩大橋後 |
23.河口大橋前 |
24.浚渫 船 網 |
25.河口大橋 |
26.船 網 |
3. 用具や装備の確認 |
ホイッスルとペインターロープが忘れ物の筆頭です。 それに「レスキュロープを貸してください」と言われたらもう苦笑いです。ということは普段使っていないのか? 初心者なのか?と心配です。 |
でも忙しい出発のゴタゴタで積み忘れることありますよね。 僕なんか上流のホワイトウォーターに着いて、カヌーを下ろして黒いウエットを履いて、青いドライジャケットを着て、黄色いヘルメットを被り「さあPFDを」と・・・しかし無い!PFDが無いのである。 なんて事もありました。 サイズダウンのベストを借りてカヌーに乗ったとたん「沈」次のカーブでバウマンの指示が聞こえず(バウマンは自分よりも大柄出前も見えず)急流の真ん中にある岩にヒットしてカヌーが宙を舞い、バウマンが自分に落ちてくるのがスローモーションで見え、その後500メートルも流され、尻を打つ。 その日からその岩のある瀬は「吉川の瀬」と名付けられ、川地図にも未来永劫永遠にわたって記録される事となりました。 |
きっかけは自分のPFDを忘れたこと。 サイズダウンのベストが不安で漕いでいる・・・不安は必ず当たるのです。 |
では、ここでPFDのお勉強をしましょう。 川用のPFDは海用と少し違います。 海用は波間でも体が浮いて呼吸が確保できるように浮力が大きく作られています。 ご存知のように前かがみに気絶しても仰向けになるように、首のところに枕輪のような浮力材が入っていますよね。 えっ知らなかった? では川用はどうでしょうか? 子供用は海用と同じように仰向けに浮くように輪が入ったものです。 大人用はあまり大きい浮力だと、肩まで浮き上がり、川の中で安全に泳げないので、頭を一つ浮かせるための浮力を持たせてあります。 脇まで水の上に上がってしまったら、泳げず障害物を避けられず余計に危険ということですね。 まあ大体「体重の十分の一が頭の重さ」だと考えられていて、一般には7キロ浮力(カヌー競技の規定では最低7キロで、実際に錘をつけ水の中に沈めて計測します、経年劣化で浮力が少なくなるので注意が必要です) しかし僕のように身長は一般的でも体重が重い人は、少し注意して購入しなければなりませんね。 ではここで問題です。 Q1 PFDを購入するとき、どのように浮力を調べればいいのでしょうか? A1 体重の10分の1のおもりを付け、水の中に沈めるA2 購入するPFDの内側や商品タグに書いてあるので見る。 はい答えは2でした皆さん正解ですね しかし量販店や釣具屋さんにあるベストはLとかMとかしか書いてありません。 Fっていうのもあるんですねフリーサイズってどういう事? そうですそれはPFDではないのです。 えっそんなところは、今まで見たことがなかった? どこで買ったのですか?ホームセンター?釣具屋さん? ネットで購入・・・・なるほど・・・ ではここで苦言を一言「そんな安いものに命を預けられるなんて、信じられない!」「あなたの命は、そんなに安いのでしょうか!!」 より安全なPFDを身につけましょう。 |
流れの音が轟くゴルジュでは声が遠くの仲間に届きません。 それでアテーションの声の代わりに笛一吹きなんです。 僕なんかすっごく大きな音が出るアメリカ警察仕様なんてのを使っていますが 昨年ソロカヌーの時クマに出会い大音量の警笛でどうにか立ち退いていただきどうにか難を逃れました。(ちなみにソロカヌー時はクマよけスプレーは持参しています。) 緊急の救助要請は何回吹くか知っていますよね? えっ知らない・・?うーん |
ホイッスルシグナル 沈を見つけて、「大変だー」とあっでもこっちでも「ぴーぴー」吹かれたら沈したのが何処かわからなくなるんですよ。 ご注意ください。 緊急三笛が聞こえた時、漕艇技量のある人は、側でただ見てないで、流失物がないかなど出来ることをカバーに入って欲しいんです。 無理はしなくていいですよ。 セルフレスキューファースト(自分の安全を一番に確保する)です |
l 注 目 単音一回 (ピッ) l 緊急事態発生 長音3回 (ピー、ピー、ピー) l 上流側を向け 行け 単音2回 (ピッピ) l 下流側を向け 行け 単音3回 (ピッピッピッ) |
ハンドシグナル 「こんにちは」の代わりに「おーいおーい」と手を振りますが、 カヌー界のハンドシグナルでは、それはなんと「遭難のサイン」 助けを求める時のシグナルなんですね。 手を上げて「ハーイ!」というとカッコいいですよ。 |
沈したとき役立つものです |
ペインターロープ 沈して、泳ぎながらカヌーを引いたり、陸に上がる際も引き綱として水に浮くロープを装備しましょう。 ペインターロープとして前後ろに装備するのが大事です。 時折長く垂らしている人が見受けられますが岩や体に巻きつくこともあるのでご注意下さい。 |
浮力体 カヤックもカナディアンも浮力体が必要です。 特にカナディアンカヌーは浸水しても船体から浮力体が浮き上がったり、外れて流れ出さないようにしないと全く意味がありません。 カヌーの中には400キロの水が入ります。 沈んだり岩に張り付いたら一人では持ち上げられません。 浮力体があるか無いかで、命も左右されます。 |
カヤックはスカートが必要です。 船の検査で安全装備品に不備がないようにお願いします。 |
ヘルメット |
レスキューロープ |
ナイフ |
特に ライフジャケットの内側背面には血液型・住所・電話番号・氏名があると緊急時に役立ちます。必ず記名しましょう。 なおメガネやカメラはバンドなどをつけ流出しないようにお願いします。 特に防水でないものは持たないか、ジップロックなど防水袋に入れてください。 |
カヌーポートには多くの人が出入りします。 同じ販売店で購入した同じものが多数目につきます。 間違って持ち出すことも、落とすこともあるかもしれません。 道具やジャケットにはすべて記名してください。 流しても戻ってくるかもしれません。 |
4.移動の際の安全管理 |
カヌーを積んだ車で走るためには道路運行法にのっとって積載してください。 くれぐれも移動中カヌーを落とすことがないようにご注意ください。 走行中にカヌーが飛ぶと大事故につながり悲惨な結果になります。 |
左右からのタイダウンだけではなく前後も風にあおられてずれないようにロープを掛けるなどご注意ください。 カヌー・カヤックとも浮力対やカヌー用具を入れたまま運ぶとカヌーの中で風がまいて飛ばすこともあります。ご注意ください。 |
よくある事故は、 積んだ後車の後ろに回って自分のカヌーで頭を打ったり、 そのまま車庫に入れようとしてシャッターを壊したり、 バックしてコンビニのウィンドーを破壊したりなどです。 |
カヌーイング後の移動は、疲れたり緊張が解けて気が緩みがちになるので 要注意です。おみやげの買い物や温泉入浴など楽しみもありますが、 くれぐれもふらふら運転や飲酒・スピード違反にご注意ください。 |
時期的に速度測定などの取締が目立ちます。 またキャンプ場内での夜間の移動など、特に注意してください。 |
5.自身の健康管理 |
単独やグループでのツーリング時は事前に血圧の測定や心拍数の把握など 普段のお互いを知り、健康チェック表を作ったりなど 健康面でのリスクがないか考えましょう。 |
当日は互いに視診しましょう。 |
一番の健康に害を与える要因は「強行ツアー」余裕の無いプログラムです。 参加者の心身の特徴をとらえ、計画し前後に余裕を持たせてください。 |
大会時は体調面の問題は、すぐに申し出るようしてください。 常駐の看護師医師が、健康相談、血圧測定などします。 怪我の場合は応急処置をし、最寄りの病院や救急車を手配します。 睡眠、食欲、便通、ケガ・病気など注意し楽しいツアーをしましょう。 |
6.同行者への配慮 |
どんな年齢でも楽しめるスポーツですが、 お子さん、パートナーの女性や高齢者など体力面で劣る仲間が同行される場合は気を配ってください。 特に休憩や、トイレの配慮などが肝心です |
また非力であることをしっかりと意識し、必要以上の力を要求しないなど言葉かけの配慮も大切です。 あなたは艇長である以上、すべてのことに配慮するべきなのです。 すべてのことを決める、という意味ではありません |
7.心の安全 | |
アメリカにはカヌー離婚「Canoe divorce」という言葉があるくらいです。 ほんとの離婚というより、 「右!いや左!」などの漕艇でのいざこざからタンデムがシングルになるという様なことですが。 日本的なカヌーイストにはホントの離婚もありえますよ。 気をつけてください!!あなたがいくら言葉に配慮していても、足らないくらい。 ツアーではさまざまな関わり合いや活動の中で、心の痛手やダメージを受ける仲間がいます。 基本は、「無理強いをせず、本人の意思を尊重し、周囲との調和を図る」ことです。 互いの気持ちを伝え合える「雰囲気づくり」を心がけましょう。 | |
8.自然への負荷の配慮 | |
わたしたちだけのフィールドでは無いことを皆さん知っていますよね。 川の果たす役割は何かを考えましょう。 | |
第3章 潜在危険のチェックポイント | |
事故や危険な状態につながりかねない潜在的な要因を考えてみます。 危険を大きく分類すると、下記のように人的要因、物的要因、環境要因の3つに分けられます。 | |
・人的要因 … 体力・運動能力、行動・態度、意識・感情など。 ・物的要因 … 服装、用具など。 ・環境要因 … 天候、場所、交通機関など。 | |
1.人的要因 | |
自分の体力や同行者の体力を改めて確認してみましょう。 | |
2.物的要因 | |
用具が適しているか、また不具合がないか、現地に付く前に車の積む前にチェックしましょう。以下のような観点で、使用する用具を確認して下さいね。 | |
軽すぎる、重すぎる ・細すぎる、太すぎる長すぎる、短すぎる ・滑る、ささくれている固すぎる、柔らかすぎる・壊れかかっている | |
3.環境要因 | |
(1)気象情報を入手しましょう | |
天候の悪化や雷雲の発生に関しては、かなりの精度で予測できるようになっています。 天候の急変による事故を防ぐには、警報や注意報が出ていないかを確認します。当然大雨や雷警報が出ている場合は、カヌーは中止ししますよね。 でももうすでに川の上だと雨に出会っても「止むかなー」とか「雷はまだ遠いぞ」なんて考えてしまいなかなか判断が鈍るところです。 | |
それはなぜ?でしょうね。 目的地にすでに車を回送しているからですね。 ここで上陸しても車は遠いし当然濡れるしとなると判断を延ばし延ばしにして、最悪のところまで引き伸ばしがちです。 でも、少しでも危険がある場合には上陸し安全な場所で改めてどうするか考えてみましょう | |
水の上は特に危険です雷が水の表面を走しり、川の上や、水たまりに足を入れていると感電します。 それに雷は地面を伝わることもあり、事実、落雷被害の多くは、雷の電光ではなく、地面から伝わる電流によるものです | |
(2)雷に対する安全対策 ①雷 | |
積乱雲が成長すると、中で雹や氷片などの摩擦が起こり静電気が発生します。 電気は逃げ場を探し早く放電したがり時速30万キロで雲から地面へ落ちてきます。 だから積乱雲が発生すると落雷が近いのです。 | |
ラジオに「ガガガ」という雑音が入ったら、半径50km以内の雲の中で雷が発生。 | |
「ゴロゴロ」と雷鳴が耳にかすかにでも聞こえ始めたら、一瞬で20キロメートル四方に落ちます。 雨が降る前にも落雷の危険があります。 危険があるということは雷が落ちますよということです。雷って1/1000秒程度で1回の放電量は数万~ 数十万A、電圧は1 ~ 10億V、電力換算で平均約900GW(=100W電球90億個分相当)の威力なんだって。 エネルギーに換算するとおよそ900MJで、もしもこの電力量をためる事ができたらエアコン(消費電力1kW)を24時間連続で使い続けて10日強使用できるんだそう。 | |
以前、講習会で「積乱雲」と言ったら、会場のお殆どの人が首をかしげていました。「えっ!?知らないの?入道雲だよ!」といっても「ふーん」との答え 都会の人にはピンとこないんですね。 これにはびっくりでした。 なぜって?講習会参加者はみんな 先生 なんですから。 |
②避 難 |
落雷の予兆があったら、速やかに安全な場所に避難します。 よく金属は電気を引き寄せるからと装飾品を外したりメガネまで捨てて走る人もいますが、金属類は、そのままを身につけておいても雷を引き寄せません。 |
身につけた金属類に気を払うより、 安全度の高い場所に一秒でも早く逃げることが先決です。 |
③安全な場所(ここに避難する) |
○鉄筋コンクリートの建築物、戸建て住宅などの本格的木造建築物 ○自動車・バスの中 ○洞窟(入口付近は危険) でもそんなとこ川では何処にもないですよね。困った困った・・・。 |
④比較的安全な場所(100%安全ではない。5%以内の危険性あり。) |
それでは橋の下や高い木を探しましょう。でも木の真下に立つ事は危険です 以下のことを覚えておいてください。 ○高さ5~30mの物体(樹木、建物、電柱など)の保護範囲に避難しましょう。保護範囲とは物体から4m以上離れます。 姿勢を低くして、両足を揃えてしゃがみ、指で両耳穴をふさぎます。 |
○橋の下、乾いた窪地や溝。ただし、河川の増水や雨水の流入がないかをよく確かめなければなりません。 なぜかというと雷は水を好みます。 |
⑤ |
高さ5m未満の物体(樹木・岩など)の周囲や、テントの中、ビーチパラソルの下。樹木の間に張ったビニールシートの下での雨宿りは厳禁です。 川や湖などの水辺やには近づかない。低地やくぼ地に移動し、できるだけ身を低くかがめた姿勢を取る。 ただし、地面に横たわってはいけない。 |
3)大雨に対する安全対策 |
川で活動する私たちは、雨になると常に川の増水が心配です。 増水とともに川水が濁り浅い川でも水深が分からないのは怖いものです。 |
水勢が増してくると思ってもいない、強力なバックウォーターや大小のエディーなど複雑な流れが生み出されます |
さらに力が増すと洪水域、表面は細かな波もなくゆったり雄大に流れているようにすら見えますが。 その実水の中ではサイドの護岸や崖の土を削り、木を倒し、大石を転がし、水は川の蛇行に沿って流れるのではなく、堤防の中を直線的に壁にぶつかり跳ね返りまるで跳弾のよう流れていき、いつもと違った未知のコースになってしまいます。 |
常に水位に気をつけ、雨が降っていなくても水量が増えてきた場合は、避難しましょう。 特にカヌーで注意したいことは川幅が増し河畔林が水についた中で漕ぐこと。 流されても上陸する余裕や場所もなくなり、河畔林にボディーエントラップメントするかもしれません |
上流部やゴルジュなど漕艇しているときは特に注意が必要です。 増水している川の水が一時的に止まったり、引いた場合は、上流ががけ崩れ等でせき止められているということです。6) 決壊したとたんに一気に土石流が襲ってくる可能性があります。 即座に避難しなければなりません。 |
車でトランスポートする場合や、カヌーを持ち上げてポーテージするときなどの移動の際、陸上でも注意が必要です。 急斜面の下や途中は「がけ崩れ」、急斜面の上は「地すべり」の危険があります。 |
(4)夏でも凍死の危険があります |
トムラウシ山の遭難は記憶にあると思います。 ハイポサーミア(低体温症)について考えましょう。 |
7月の某日天塩川、気温29度・・・でも水温19度でした。 この辺りでは「川の水温は気温の一月遅れ」と昔から言われています。 まぁでも最近の6月は昼間摂氏30度近くまで気温があがる日などもありそのとおりではありませんが。 7月中旬までは雪解けの水があり高い水温は期待されません。 当然6月は沈に備えてウエットのズボンなどを履きますが暑い日もあり熱中症とハイポサーミアが両方に注意が必要です。 |
沈するならともかく、水につからなくても低体温の危険があります。 風速が1m増すと体感温度が1度下がります。 また、衣類が濡れると体温がどんどん奪われます。 山では夏でも凍死した事故が数多くあります。 |
雨天や向かい風など悪状況でカヌーイングしなければならない場合は、風で体温を下げないようにジャケットや透湿性の雨具を着こみ、行動食をしっかりとるなど、体力や体温の温存に努めなければなりません。 |
ところで天塩川は北に流れています。 夏は温暖な中流から夏でも冷涼な下流に流れていくのです。 ゴールに近づくたびに気温が下がります。 水温は一月前の気温というのが基本です。道北は1日に季節が2つといわれ ます。 ということは夏の夜でも野外はダウンやフリースがいるのです |
● 水は冷たい |
北海道の屋外プールや海は水温低く、いつもサバイバル状態、子供の頃寒さで震えた経験ありませんでしたか? 水中では陸上にいるときよりも25倍の速さで体温を奪われ、体温が低下すると、ハイポサーミア(低体温症)となります 唇が紫色(低酸素によるチアノーゼではなく、低温で皮膚(唇)表面の毛細血管に血液が行かなくなり、奥の静脈が透ける為に紫に見える状態)になり歯が鳴るほど体が震えたら、すでにあなたは低体温状態に陥っている証拠です。 重症になると脳や器官の機能不全から死に至ることもあります。乾いた服に着替え体を温めます。 アルコールや熱い飲み物、入浴などで急激に温めることは禁物です。 季節や水温、活動内容を考え、タイツや、ネオプレーンパンツやウェットスーツ等、活動に適した服装をし、乾いたものに着替えるなど、体温が奪われないようにする工夫が必要です。 |
ハイポサーミア (低体温症) 恒温動物であるヒトは、体温37℃±1℃の範囲内で正常な生命活動(代謝機能)を維持します。 自分で自分を温めようとする代謝による発熱が間に合わなくなると徐々に低体温となり、やがては死に至る怖い症状です。 はじめは末端の血管に血液が運ばれなくなるので、動作が鈍くなったり、喋るのに難儀したりする これは体の中心に温かい血液を集めて、守ろうとするためです。 こうなってしまうと泳ぐこともままならないので、落水したら速やかに 陸もしくは カヌーに再乗艇しなければなりません。 特に北に流れる天塩川は夏でも水温が低く、ウエットを履いていても日が出てないなど天候により急速に体温を奪われることがあります。 |
対 処 |
意識がある場合 |
風のあたらない場所へ静かに患者を運び、乾いた衣類に替える。 話し掛け反応があれば、その場で積極的に手当てする。 温かい飲み物と保温により回復を待つ。アルコール は厳禁です。 |
意識が無い場合 |
無理に手足を動かすことを避け、速やかに医療機関へ引き渡すことが大事です。 この場合は体を温めてもいけないので注意してください 温めると冷血が心臓に押しやられ、非常に危険なんです。 |
*いずれにせよ、迅速に医療機関へ搬送することが大事。 |
体温による による症状判断(℃) |
秋の某レースでの異変 |
毎年10月体育の日は、A市でのレースによく参加させていただきました。 その季節になると朝晩の冷え込みも強く、落ち葉のなか大雪山はすでにひと月前から雪化粧。 水温は14.5度と低く、このレースを期に短いカヌーシーズンが終るような北国のイベントです。 僕は何年間か親子賞を取るため3人の子と順にタンデムを組んで参加していましたが、まだ若輩なこの時は「DTの大会長」と参加していました。 参加者全員が選手なのでポイントなどのレスキュースタッフはなく、選手が2組に分かれて交互に難所で待機レスキューという草レース。 その水温の低い季節のレースに全道から参加される方はそれだけ「実力があり、装備もしっかりしていた」のですが。 でも徐々に大会が有名になると、知らないグループが多くなったようで、気になっていたある年のレース。 僕らは上流に向かって、漕いで、漕いで遡らなければ、ならなくなったのです。 レース中、中間地点で後続のカヌーを待っていても一艇足りないのです。 その挺のグループの仲間は「沈したのを、見かけたけど、流れが早くて戻れないから・・・確認していない」・・・アラ無責任・・・ とそれを聞くなり僕のタンデムの相方は一言「行こ!」 その一言で「サーチ・アンド・レスキュー」の始まりです。 僕らは上流に向かって、走れる岸があるところはカヌーを担ぎ走り、白く暴れる川を漕ぎ遡のぼり、吐きそうになるくらいカヌーを漕ぎまくり。 ようやく2つ目のカーブの護岸の草の中に上に、引きあげられた不明者のカヌーを発見。 上陸し探索すると、護岸から道路への二人分踏み跡。 どうやら沈後、自力上陸。 観覧者から確認したのは、低体温気味なのでタクシーで移動したとのこと。 胸をなで下ろし一件落着。 でもそれだけでは終わらない日でした。 急いで漕ぎ下り、レースに追いつき、そのまま後漕(レースの最後から安全管理)。 しかし先程と同じグループの男女タンデム艇が沈。 水面からカヌーに引き上げレスキュー。 なんと着ていたものが綿製品! 二人は沈後すぐに低体温気味で体が硬直。 カヌーを漕げる状態ではないので、僕らの挺とタンデムを組み直し、僕はパドルを無くした男性を真ん中に、スターンマンはレスキューシートでグルグル巻きの女性を抱えるように乗せ 車の入れる所まで。 カヌーで一刻も早くとまたまた吐きそうになるほど力漕。 上陸後、別の女性参加者にお願いして剥ぎ取るように、低体温の女性の服を脱がしてもらい もう一度レスキューシートを巻き、 ようやく捕まえた車に押しこむように二人を載せて、送ってもらう手はずに。 これにて「二件落着。」 レスキューシートは、お忘れなく! |
カヌーでは忘れがちな目の日焼けと熱中症 |
カヌーをしているといつもこんな声をかけられる 「涼しそうでいいですね」しかし汗だくである。 PFDにウェットパンツ、「サンバーンに熱中症」と危険がいつも付いて回るのに、傍目には涼しそうなのであろう。 ある時もっと涼しいPFDがないかと、いろいろ探したがどれも落水から身を守るには心もとない。 |
目も日焼けします。 |
特に北海道も5月から紫外線が強く、木陰も無く川からの照り返しが強いカヌーの場合は注意が必要です。 肌の日焼けはともかく目の日焼けは長いカヌーツアーでは大変です。 日本の場合、5月頃が最も紫外線量が多いといわれていますが それは紫外線Aのことで、紫外線B(Aよりも100~1000倍有害性が強い紫外線)は真夏の7月、8月のほうが多いことが分かっています。 北海道は沖縄の半分の線量と言われていますが なにせ乾燥して澄んだ空気では時としてもっと高い数値になっています。 強い日差しの中、サングラスをかけずに長時間過ごすなどしていて、後で目が痛くなったり涙が止まらなくなったりすることがあります これは目が日焼けしたことで角膜に炎症が起きたからです。 白内障も紫外線が原因となって発症することがわかっています。 |
症 状 |
目が充血する。 目が乾燥する。 涙が止まらない。 異物感がある。 まぶたが開けられない。 |
対 処 法 |
目が日焼けしてしまったら、タオルなどを当てて冷やしましょう。 それでも症状がおさまらない時は、眼科医に |
目の紫外線対策チェック 以下の項目で3つ以上当てはまる場合は、要注意です。 ☆サングラスをあまりかけない ☆帽子をかぶらない ☆日光を長時間浴びると、目が赤くなる ☆緑黄色野菜をあまり食べない |
紫外線対策 |
・帽子をかぶると目に入る紫外線を20%もカットしてくれます。つばの広いものがいいですね。 ・サングラスをかける「紫外線透過率0.1%以下」という表皮があれば、99.9%遮断できます。レンズの色が透明であっても、この「紫外線透過率」が低ければしっかりと紫外線を防いでくれます。 ・日陰を利用する。日陰であっても注意が必要です。紫外線は太陽からだけでなく、空気中に散乱したものや、水面・地面や建物から反射するためです。 |
サングラス選びのポイント |
l 薄い色のものを選びましょう。 濃い色のものが防ぐには、「可視光線」です。 (まぶしさです)まぶしさと紫外線は違 います。 濃い色のレンズは、瞳孔が開いて、レンズを通り抜けた紫外線が、多く瞳の中に入ってしまうことも考えられますので、要注意です。 lサングラスの種類を確認瞳の健康を考えると、「サングラス」もしくは「偏光サングラス」と表示されたものがいいでしょう。 |
熱 中 症 の 種 類 |
熱失神 |
皮膚血管の拡張によって血圧が低下、脳血流が減少しておこるもので、めまい、失神などがみられます。顔面そう白、呼吸回数の増加、唇のしびれなどもみられます。脈は速くて弱くなります。 |
熱疲労 |
大量の汗をかき、水分の補給が追いつかないと脱水がおこり、熱疲労の原因となります。 脱水による症状で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などがみられます。 |
心臓より足を高くして、あおむけに寝かせる。 水分が摂れるなら少しずつ薄い食塩水かスポーツドリンクを何回にも分けて補給する。 |
上半身を高くして座っているのに近い状態で寝かせ、とにかく体を冷却。 首、脇の下、足のつけ根など、血管が皮膚表面に近いところを氷などで集中的に冷やす。 氷がない場合は、水を体にふきかけ、風を送って冷やす。 アルコールで体を拭くのも良い。 このとき注意したいのは、体の表面だけを冷やしてふるえを起こさせないこと。 |
熱けいれん |
大量に汗をかき、水だけを補給して血液の塩分濃度が低下した時に、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんがおこります。 暑熱環境下で長時間の運動をして大量の汗をかく時におこるもので、最近ではトライアスロンなどで報告されています。 |
けいれんしている部分をマッサージする。 また、体の特定の部分(例えば脚など)が冷えているなら、その部分もマッサージしておこう。 |
熱射病 |
体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態です。 意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識がない)が特徴で、頭痛、吐き気、めまいなどの前駆症状やショック状態などもみられます。 また、全身臓器の血管がつまって、脳、心、肺、肝、腎などの全身の臓器障害を合併することが多く、死亡率も高くなります。 |
熱中症になってしまったら(応急処置) 熱中症かもしれない、と思ったらまずまっ先にしなければならない基本。 涼しい日陰やクーラーの効いた車や室内などに移動するl 衣類をゆるめて休むl 体を冷やす 氷や冷たい水でぬらしたタオルを手足に当てる 水がない場合は、タオルやうちわ、衣服などを使ってあおぐl 0.1%くらいの塩水か、スポーツドリンクを少しずつ何回にも分けて補給 |
意識がはっきりしない場合 |
l反応が鈍い 言動がおかしいl 意識がはっきりしないこういった場合はすぐに救急車を呼びましょう。救急車が到着するまで応急処置をしておきましょう。 応急処置によって回復しても、早めに病院で診てもらいましょう。 |
熱中症にならないために ① 運動前に胃の負担にならない程度に出来るだけ多くの水分を取る。 ② 発汗によって失った水分と塩分の補給をこまめに行う。スポーツドリンクなど塩分と糖分を飲みやすく配合した飲み物も良い。 ③ 睡眠を十分に取る。 ④ 十分に休憩を取りながら作業する。 ⑤ 体感温度を下げる方法として、日射を防ぐ、通風を確保する、扇風機の風を作業場所へ向ける、スポット冷房する、作業服の内部へ送風する(そのような機能を持った作業服を着用する)、蓄冷剤を利用する、水の気化熱を利用して体温を下げるなどの工夫を行う。 ⑥ 一人でいると発見が遅れることになりかねないので、グループで行動する。 |
こんな時や人は気を付けよう 前日に比べて気温が急に上がった時気温がそれほど高くなくても、湿度が高い時アスファルト等の人工面で覆われているところや砂地、草の生えていない裸地熱中症にかかりやすい人、以前に熱中症にかかったことのある人寝不足、風邪や下痢などで体調を崩している人高齢者、肥満の人無理をしやすい人、我慢強い人 |
1)交通事故 | |
(2)寝不足 | |
第4章 フィールドでの安全管理 フィールドそのものが持つ「危険」について考えましょう。 下見などを行い「そこにある危険」をより多く発見し、対処法を考えておくことで現場での危険をより少なくすることが可能となります。 | |
以下の絵を見てリクスをいくつ上がられますか? コースは何処を取りますか? | |
(1) 上流の雨 今いる所が晴れていても、上流で雨が降っていれば川の水が増水します。 細い川や急峻なところそれにゴルジュでは逃げ場がなく急に水かさが上がり流されてしまいます。急に水が濁ったり枝が流れてきたり水温が変化したら注意が必要です。 鉄砲水への注意も必要です | |
(2) ダム 放水により川が増水します。 事前に放水状況を把握し対応しましょう。 警告のサイレンや放送に注意ください。 誰もいなくても、誰かが居たとしても決壊での大災害予防のためにはダムの水は流されます。 (玄倉川を知っていますか?) | |
ダム放水情報サイトhttp://i.river.go.jp/ | |
(3) 水際に覆い茂った草 滑って転ぶ、急に川に落ちるなどの危険があります。 見通しが悪いと事故に気がつかない事もあります。 川まで5メートルに近づく場合はライフジャケットを着用しヘルメットをかぶりましょう。沈して登ろうとしても滑って登れなかったり転倒など注意です。 増水時は川幅が広がり、河畔林の根元まで水に付きます そうしたときに流されると体が引っ掛かり(ボディーエントラップ)水圧で水から頭を出せなかったり動けなくなります。 | |
(4)ホール ホール 障害物を乗り越えた水流がつくられ、小さな滝のような構造を持っています。 グルグルと段差で落ちた水が縦に回転する対流が起きると、空気がいっぱい水に含くまれます。 まるで水がボコボコと下から湧き上がってくるようですが、半分は空気なのです。 空気ですから水のようにカヌーを下から水圧で持ち上げてはくれず、水の中に落ちてしまうのです。(基本的にはホールはバックウオッシュ後部に発生します) 流れの強いエディ(平面での反転流)や淵でも見られ、空気を含むのでうっかり沈して落ちると対流部にPFDごと引き込まれ、沈んでしまいます。 注意が必要です。 船もエディーに引っ張られるように引きとめられてしまい、ラダー(舵)も効きづらくなります。横長で大きいものには近づかない方が無難です。 河床の急激な変化や、大きな岩を水が乗り越えているところの下流には、ホールが出来ます。 水の白いところは空気が大量に水に含まれるので浮力は少ないということを覚えておいてください。 例えばホールに突っ込んだカヌーのバウが水を汲み上げるように水が入り沈したり、浮力がないので川底まで一気に落ち込み川底の岩にぶつかりバウが割れることもあります。 カヤックの場合はもっと最悪で、岩の割れ目に突き刺さることもあります。(バーチカルピンまたはピニングという)。 ピニングしたカヤックの乗員は、背中からの水圧に押され容易に脱出する事が出来ない上に、水をかぶり呼吸も困難になるます。 水圧で艇が折れ曲がり、下半身を圧迫しさらに脱出を難しくする 。ピニングはカヤックだけでなく、脱艇して漂流している人間がホールに足から落ちて、足が川底の岩に挟まり動けなくなることもあるので注意が必要です。 | |
(5) 川底に岩などの障害物が多く流れの速い瀬 立とうとしたり川底に足を向けていたりすると、岩などに足を挟まれる(フットエントラップ)危険があります。 流れが急だと水圧を受けて動けなくなります。 足が挟まったまま水圧で前に倒され、頭が押さえつけられ息ができなくなります。 その場合すばやくジャケットなど顔を浮かせ息を確保し、胸の下にロープを掛け後方に引き抜かなければ水没したままです。 | |
(6) 大きな岩や壁に流れがぶつかる所 アンダーカット (ロック) とは、大きな岩の水面下の部分が浸食などで大きくえぐれている岩のことです。 特に川の流れが大きな岩にぶっかっている場合、まずアンダーカット (ロック) だと思ったほうがよいでしょう。 そこでは下に引き込む流れが発生し、ライフジャケットも意味無くなり引き込まれ出てこられません。渦の中には流されてきた木の枝・ゴミ・釣り針などもあり、危険な場所です。 間違って入った場合は壁に水圧で押し付けられないようにボールのように丸くなって転がって水圧の低いところまで行き最後は全力で明るい方向(上)に飛び上がるように流れの中に浮上することです。 そのころにはウエットスーツ以外剥ぎとられているかも。 成功率0.05%ですがこれしかありません。 | |
(7) V字に波が立っているところ(V字の頂点が上流側) 古い橋脚の残骸や鉄筋、尖った岩の先端などが水面すれすれに隠れています。 そばに行って気がついても焦らずに。少々ぶつかっても船体をかわしてください。 船を横にして真ん中を当てなければ沈は逃れますが。あわてると沈脱必至 で小さなエディーを利用すると流れの中で休憩やレスキューの待機ポイントにもなります。 | |
(8)瀞場 (トロ場) いわゆる流れがほとんどない所のことです。 川幅も広く、勾配もなく、水深もわりと深い場所のことです。 川は静と動を繰り返し蛇行して流れていますが、瀞場 (トロ場) は静の部分です。 | |
(9)ボイル 浅深方向に対流が起きると、空気を含んだ水がボコボコと下から湧き上がってくる。 基本的にはホールのバックウオッシュ後部に発生発生する。 流れの強いエディや淵でも見られ、空気を含むのでうっかり落ちると 対流部に PFD ごと引き込まれ沈んでしまうこともあるので注意が必要。 船も引きとめられてしまい、舵が効きづらくなる。 | |
(10)バックウオッシュ ホールに落ちた水が浅深方向(垂直方向)に循環する部位。 水流が循環するバックウオッシュでは流着物を留める作用があるため、そこにカヌーを乗せてしまうと船足が止まってしまい、なかなか出られないこともありその際横を向いて沈する場合もあるので注意してください。 気泡を多く含み、浮力がなくなるのでPFDでも沈められてしまいます。 | |
(11)クッションウェーブ 岩などにぶつかった流れが盛り上がり、ボイル状になっている部分。 後述しているが、ラップの危険もあるのでなるべくなら近寄らないようにしたい。 | |
(12)ダウンストリームV 白い泡 川幅が急激に小さくなる場所や、岩に挟まれた流れでは、 水流が集中して盛り上がり白い波を作ります。 その波連なると大きな白波を発生させ、 これを、下流から見てV字型のラインになるので、ダウンストリームVと呼びます。 | |
(13)スタンディングウェーブ 波そのものはとくに危険と言うことはないのですが、 自分のパドリングレベルを超えた大きく不規則な波は、沈させられ、脱艇の可能性が大きく、その後の危険につながっていきます。 自分のレベルでは不安があり、さらに下流にいろいろな障害が予測される場所では、ポーテージが賢明です。 | |
(14) 植物のない河原 雨などで川の水が増水すると浸水する可能性があります。当然キャンプ不適地です。 | |
(15) 中州 増水すると浸水する可能性があり、退路を断たれてしまいます。 急な増水(ダムの放水や豪雨)で中島がすべて水没することもあります。 カヌー時は左右にわかれた水路のどちらに行くかで悩むところです。 雨の後は倒木などで塞がれたりと危険な場合もあります。必ずスカウティングしましょう。 | |
(16)水面が沸き上がっている流れ ボイル 強い流れが川底や岩にぶつかり、沸き上がった流れです。 直前で驚いて沈すると岩にエントラップしたりボトムに腰を打ち付けるないどなど危険です。 チンした場合はディフェンシブ・スイミング・ポジション でしっかり足を上げください。 大きなものは強い渦をもっています。複合的な波が多く乗り越えた後油断するとその後のエディーや小さな波で沈しますので注意。 自転車と同じように前に進んでいれば乗り越えられるでしょう。 そのラインに乗ってしまったら躊躇せず漕ぎ抜け横に転がらないようにバウの先を波頭ににしましょう。 | |
(17) テトラポット・橋脚・床止めなどの人工構造物 付近では複雑な流れが発生し、引っかかってしまう可能性が高いところです。 引っかかると、川の水圧を受け動けなくなってしまいます。テトラなどは穴に引き込まれます。 | |
(18) 岩 大きさ、水面の位置、形状などにより様々な流れを生みます。 複雑な流れを生み危険な場合があります。 | |
(19) 隠れ岩 |
(20)反転流 バックウォーター エディー岩などに回り込んだ場所や湾では、反転流が発生してます。本流に比べて流れがゆっくりですが、流れはいずれ本流に戻ります。 エディは休憩や下流の偵察になくてはならない場所ですが、本流の流れが速い場合には強力な渦が発生します。 また本流とエディの境目には水圧の壁「エディ・フェンス」が出来、漕ぐ力の弱い初心者にはエディフェンスを越えられないことがあります。 エディフェンスに跳ね返されたり、不安定なエディ内で沈脱した場合、強烈な渦に引き込まれることもあり得ます。増水時はすごい威力をもって回るので危険です (21)エディライン エディとダウンストリームの境界にできるライン。 (22)エディフェンス エディラインが発達してできる落差。流れが強く、通過時にボートのバランスが崩れるので、沈または落水する場合もある。 | |
(23) 川に倒れこんだ木 ストレーナー 倒木などが水面ぎりぎりに進路を塞いでいる場合、それに引っかかってしまうと強大な水圧に押されて身動きできなくなってしまいます。 ストレーナーとは少し違い天塩川中流では倒木が川の流芯に横ではなく縦にとどまり水中から枝だけ出して「おいでおいで」と揺れています。 傍にいくまで見えないこともしばしば、掴めそうなので掴んでしまうと沈は必至。 | |
(24) 釣り針・糸 どんな場所にもある可能性があります。 刺さってしまうと簡単には抜けません。糸が体に絡みついて水中に拘束される危険もあります。 釧路川や千歳川には釣り場の反対側の柳などの多く見られます。 フライやルアーが、テグスがついたまま木にかかっていたり、水中の枝や根に絡んでいます。 指に巻きつくと危険なのでツアーの折回収しました、高価なものもいっぱいあり釣り好きな人には宝の山でしょう。 しかししっかり針が指に刺さりました。 | |
(25) 川の合流 2つの流れがぶつかり合い、複雑な波や流れが起こります。 いきなりエディーやボイルがあったりカヌーのバウやスターンが捉えられて回り沈することもあり注意してください。 また山からの流下物が堆積し中島や岩など危険なものもあります | |
(26) 堰堤 ハイドローリック 川底が変化するとその下流には縦方向の渦が出来ます(バックウォッシュ)。その渦は漂流物を捕まえ渦から出さない働きがあります。 強い渦の中ではいつまでもグルグルと回り続けて、そこから脱出できなくなります。 とくに危険性の高いのはローヘッド・ダムとよばれ水が上から溢れ出るタイプの堰堤で、巻き込まれ死亡事故も多く起こっています。 直前まで発見しにくいので、事前のスカウティングをしましょう。 大体は地図による確認と音でわかりますが。発見したら必ず岸をポーテージしましょう。 堰堤の下では強力な渦が発生しています。 均一に作られているため、横断方向に流れの変化がなく抜け出すのは困難です。 一度カヌー・カヤックで入ってしまうと、出られなくなってしまう場合があります。 沈して泳いで入るとバックウォッシュに体が回されて抜けられません。 リバーツーリングの際は、ポーテージ (降りて岸を歩いて回避すること)しましょう。 実は斜めテッシの下も同じように引き込まれるポイントです | |
(27) まっすぐで深さがあり障害物が 少ない川の流れ 水が岸から中央に向かって流れ、岸に向かっても跳ね返されてしまいます。 増水時に発生しやすく、特にコンクリート護岸で流れが直線的な場所では起きやすくなります。 | |
(28)ザラ瀬 川幅も比較的広く水深も浅い。玉石底で岩が点在し極端に浅く、サラサラと流れるしかし傾斜があるため、白い泡がたっているところです 。 瀬としてのパワーはあまりありませんが、水深が浅いうえに岩などが多く点在しているため、カヤックがよく岩などに乗り上げてしまうことや、落艇時にはフットエントラップメントを起こし易いので意外に注意が必要です。 | |
(29)テッシ 天塩川の代表的な障害物です。 自然の岩が横一列や斜めに連なって並んでいるもの(紋穂内テッシ)やシープのようにテッシが複合している(六郷テッシ)など様々な状態があります。 水の多いときはテッシの上はプールになっています。 危険度は水量で変化します。 紋穂内テッシのような直線的なテッシは大水の時は、波はあまり立ちません。 岩ギリギリに流れている時は大波。 水量が少ない時は、複雑に岩が並んだ水路を行くことになります。 この場合隠れ岩にヒットし沈したり、沈した場合は岩に張り付いたりと様々な危険があります。プールになっているので上流からはあまり状況が見えませんが50センチ以上の段差になっていることもあります。泡立つところを避け、上流から一番大きなタン(舌の先)を狙い降下します。 | |
(30) 濡れた石やコンクリート 角度が急なコンクリートは濡れた靴では滑りやすく川に落ちることもあります。 特に靴底に泥が付いているよく滑ります。 | |
(31) 川底のゴミなど木 ケガや足を挟まれて強い水圧を受け動けなくなる事もあります。 | |
(32) 漁労施設 川幅一杯に縄や網を張り巡らせていることがあります。 珍しいからと物見遊山で必要以上に近づかないでください。 急に漁船等動くことがあり、波をかぶることは致命傷で危険です。 航路を横切ることは危険なことで仕事の邪魔になります。 働くものが優先です。 誰か一艇でも危険行為や邪魔をすると、今までの友好関係が崩れ、もうこの水域ではカヌーは邪魔者になってしまいす。 | |
(33)漁船の航跡漁労施設がある所は漁船がかなりのスピードで往来します。 漁船が通ると大きな波が立ち、横からの航跡波をうけると簡単にカナディアンは沈します。 漁船が見えたらはじめから川岸により通行するなど回避してください。 押し寄せる波は船腹ではなく船首で受け、左右のバランスを取りましょう。 | |
(34) 河口付近 大型船も運行・停泊しています。 近づいたり航路上のとどまらないでください。岸寄りをこうでください。 航跡波に巻き込まれて沈しないように注意してください。潮の満ち引きの影響を受け、沖にどんどん流されてしまいます。 | |
[ 水の危険 ] | |
● 水 | |
川には水があります。そして、水の中では人は息が出来ません。 突然深みにはまったり、川の流れで川底に引き込まれたり、落水したときなどは、パニックとなり、1分もあれば溺死してしまいます。 溺死しないようにするためには、PFD(Personal Flotation Device:ライフジャケット等の総称)を適切に着用するなど、最低限顔を水面から出すための工夫が必要です。 | |
僕らの子供の頃はプールなんてものは街のどこにもなく無く、唯一泳げるのは名寄川の堰堤にある簡易「川のプール」というか監視付きのよどみでした。それと真夏に海水浴列車や自家用車で行くオホーツクの夏でも冷たい海です。だから泳ぐというより水遊びでした。 川のプール以外での川遊びは禁止されていた時代、それでも毎年何人かが、どこかの川や沼で遊んで溺れて死んだと噂がされていました。 僕が初めて溺れたのは線路沿いの沼、子供たちだけでいかだ遊び、溺れた僕を見つけたのは走っていた機関車の窓から見つけてくれた運転手、貨物輸送の蒸気機関車を止めて助けてくれました。 その後2度ほど海や川で溺れ、そのたびに誰かに救われています。よっぽど馬鹿か「きかない」子供だったんですね、 3度目の正直がなくてほんとよかったです。「大きくなれば川で遊べる」が待ちきれずにいたんですかね。 川への憧れが今ではカヌー乗り。そうそうカヤックで溺れかけたのはカヤックに初めて乗ったとき、横に倒れてちょうど鼻と口が水の中に、そのまま沈脱もできずもがいていた時の事、 浅い水辺なので、その状況に気がつかず、みんなが笑って見ていましたね。 水がある場合どんな水深でも水死の危険があります。倒れて気絶してそのまま顔は水に入っているなんて・・・。ゾッとします。くれぐれも気をつけてください。バタバタと溺れるのではなくほんとは静かに溺れるのです。 | |
● 川の流れ | |
先に図式したように流れや地形の影響で、川の水面・水中では様々な流れが発生しています。 中にはPFDを付けている人でさえ川底へ引き込んだり、一箇所でぐるぐると循環させてしまう流れもあります。また、川に倒れこむ倒木や水制(テトラ)、岩の裏などに引っかかってしまうと、流れの力(水圧)で脱出できないところもあります。 そのポイントを下見などで見極め安全なコースと取るか、近づかないことが大切です。 | |
● 増水 | |
熱帯低気圧が近づくと、風が強まり雨が強くなるので、事前に避難することは比較的容易です。 しかし、100マイル以上の長大河川になると、上流で局地的な集中豪雨が発生していても気がつかず、自分たちのいる場所で雨が降っていなくても、急に増水することがあります。 そんな時に一瞬で来る泥流で中州に取り残されたり、流されて溺れてしまうことがあります。 常に上流側の水位や当日の天候を把握しておくとともに、急に濁る、流木などの漂流物が急に増える、水が冷たく感じるようになるなど、増水前の予兆を見逃さないように注意しましょう。 また寒冷前線の通過によっても、突風やにわか雨(短い時間の強い雨)、急激な気温の低下が起り、大惨事が発生することがあります。天気図は、常にチェックしておきましょう。 | |
● 水辺の安全 | |
登山に行くときや海水浴へ行くときには、場所選びから、万が一の為の備えをしてから出かけますが、川は身近な生活環境に流れているために、「普段着」のままの心構えで出かけてしまいがちです。水に入ればそこは「厳しい大自然そのもの」ですので、山や海へ行くときと同じような心構えで、事前の準備をすることが大切です。 川のそば5メートルが一番危険です必ずライフジャケットをつけましょう。 「自分の身は自分で守る」「常に備えよ」 これが水辺における安全の、世界共通の合言葉です。 |
第5章危険な動植物 | |
虫 | |
マダニ笹薮などにいて体長は直径3mmほどの大きさです。春さきより夏まで吸血性のマダニが発生します。皮膚に食い込んで、血をたっぷり吸うとスイカの種くらいの大きさになります。耳、首、わきの下、乳房周辺、しり、内もも、ひざの裏側などの柔らかい部分に付いて吸血します。衣服、帽子や首に巻いた手ぬぐいの上を這い回ります。●対策白や淡色系の衣服を着るとダニが発見しやすい。時々衣服に付着していないかチェックする。 ・笹薮は極力避ける ・帽子を被る(頭も食われる場合がある)・風呂に入り、ダニに食われていないかチェックし、衣服は全て着替える●処置ピンセットで取る。頭が残らないようにしましょう。ダニ用のピンセットは山道具屋さんでは販売しています ・ダニに食われるとライム病やダニ媒介性脳炎という病気になることもあります。 | |
スズメバチ ズメバチは日本に16種類いて、そのうち14種類が北海道に生息しているそうですすごく種類が多いんですね。。 オオスズメバチのように体長が4センチもある大型の種類から、クロスズメバチのように1センチほどの小さなハチもいます高山から平地に生息する大型のハチです。山野を歩いている時、草刈りをしている時など、野外で普通に行動している時に、突然集団で襲われ事故になります。巣をつくる春から秋にかけて活動が活発になります。 スズメバチに遭遇したら、あわてず騒がずじっとしていること。動くものにさらに攻撃する習性があります。また刺激を与えると言われる黒い服や帽子、また甘い臭いや香水は避けることが重要です。人体に対する危険は、「アナフィラキシー・ショック」によるショック症状で、死亡に至る場合も度々あります。 ●処 置 毒液による痛み、腫れ、患部の炎症、痒み、体温の上昇等が、刺傷後10~15分後に発現します。患部からの毒液除去身体に回る毒成分の量を減らすため、できるだけ速やかに毒液を吸い出す。 ●治 療 患部の腫れや痛みには冷湿布をし、抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏を塗る。 患部を冷やして、迅速に医療機関で手当を受ける。 アレルギー性症状 アレルギー反応の程度は人により異なります、身体各所或いは全身の蕁麻疹、だるさ息苦しさなどの症状がある時は注意、2回目には「アナフィラキシー・ショック」が出るなど充分な注意が必要です | |
スズメバチには苦い経験・・・いいえ痛い経験がいろいろあります。 珍しいところをひとつ。 道北では珍しく夜も暑い夏、南が丘でのカヌーキャンプ。 で、夜中に目が覚めテントから出て顔を上げたとたん、ポロシャツの中、胸のあたりにバシッと激痛・・昼間暑くならないように空いていたテントの中にハチが入って居たのでしょうね。 それも服のなかにいるとはね。敵もさるものしかしお返しに、おもいっきり叩いて蜂を潰すと大きなスズメバチ・・一瞬クラクラ・・・痛さをこらえ車のグローブボックスに入れておいたポイズンリムーバーを探し出し、真っ暗の中でなんども吸出し作業 その後は軟膏を塗りこみ抗アレルギー薬を飲んで自分で処置をしましたが、真夜中に蜂に刺されるなんて。 それ以来テントを張る前に儀式が一つ加わりました。 しばし佇み、草をひとつまみ投げ上げ風を読み、ついでに耳を澄まし蜂の通り道ではないかを読みとるのです。 それから設営。 しかし現在ではポイズンリムバーは毒をそんなに吸い出せないといわれています。病院に行ってください。 | |
イラガ・ドクガ ガの一種で、その幼虫は刺毛という毒のある毛を持っているので、触れてしまうと痒くなりかぶれてしまいます。イラガの幼虫のトゲに触れると、痒みは弱いが激痛が走り皮膚炎を起こす。 幼虫はサクラ、カエデ類、ヤナギ類、クリ、クルミ、リンゴなど多くの樹木を食害します。この毛虫に刺されたとわかったときは、その場所にテープを貼って毒針毛を取り、そのあと長時間流水で洗い流すのがよく、手でこすったり掻いたりするのは最悪です。抗ヒスタミン含有のステロイド軟膏を塗り、症状がひどければ抗ヒスタミン剤を内服します。 若かりし頃こいつにやられました。 まだ体が軽くて今の僕よりも軽いトライアルバイクに乗って野山やコンクリート護岸や大岩や泥と戯れていた頃です。 その時は川原の柳の間の不整地を飛んだり、コンクリート護岸や階段を登ったり降りたりしていたのですが。 ゴーグルの下、右の頬に柳の葉が触ったかと思ったらいきなり急激に目の中に星がチカチカして(偏頭痛の最初の目のチカチカのような)次の瞬間視力がなくなったのです。そのまま転倒。 突き放したバイクは木にぶつかりハンドルが曲がりました。 少したって左目が回復してきたのですが、それでもチカチカの目で家にたどり着きました。まあ家と言っても土手を超えれば、すぐそこなんですが。 ガムテープで針を取り、流水で顔を洗い、抗ヒスタミン(アレルギー)薬を塗布及び抗アレルギー剤服薬。 まあ情報としてイラガの対処法を知っていましたので一人で出来ました。 こう見えても酷いアレルギー体質なのでいつものアレルギー薬を持っているので助かりました。 しばらくたって回復しましたが。 活動中のイラガのアクシデントは本当に怖い! 目に入らなくてよかった・・。 ということでその日から抗ヒスタミン剤はレスキューバックに入っています。 | |
蚊 日本では約60種類の生息が確認されています。 北海道ではこのうちの42種類の生息が確認されています。 二酸化炭素に反応しよってきます。 酒臭いと、もっともっと寄ってくるので大変です 虫にさされた時には、刺された場所を口で吸ったり、毒を出します。 水で洗ったあと、抗ヒスタミン軟膏を塗ることで症状を抑えることができます。 朱鞠内湖などの蚊は大きく、刺されたとたんバチっと痛みが走るなど強烈です。渓流釣りの時、下ばったかり見ていて蚊柱になったこともあります。ポイズンリムバーの実験をしましたがほとんど実効はありません。 | |
ヌカカ | |
ヌカカに咬まれたときは傷みも痒みもなく、刺されてことに気づかないです。 しかし厄介です。 翌日に気づいたときには 何か所というより 集団に咬まれた後が判明します。そうなると地獄が始まります。 その痒さといったらもうただ事ではなく走りまわりたいくらいです。 人によっては腫れたり、水ぶくれが出来たりします。 そしてもっと悪いことに、その痒みは1週間ほど続きます。 毎日掻きまくって血みどろにならないよう処置をしましょう 特に野外での小用は注意ください!! |
ア ブ | |
天塩川は音威子府以北からい多くなるみたいです ウシアブとか、黄アブ言われるように大きなアブです。 大きくて黄色が目立つのでスズメバチと混同し大騒ぎするする人もいます 集団で攻撃してきません。 メスは、血を吸う害虫です、 刺された瞬間、チクッというような痛みがあり、刺されたのがすぐ分かる。 個人差もありますが、強いかゆみがあります。 アレルギーがある場合、化膿し水ぶくれが出来るのでご注意ください。 | |
動 物 | |
ヒグマ | |
生息地域は、北海道。木の実や昆虫、サケなど何でも食べる雑食性。 基本的には臆病ですが、コグマや自分自身を守る状況では攻撃的になります。 春の山菜や秋のキノコ採取時などには、鈴やラジオ・笛を鳴らす、歌を歌うなどして、予めヒグマに人間の存在を知らせるなどが予防策の一つです。最近は音威子府村以北の河原で時々で会います。小用で上陸すると足跡や新しい糞に出会います。 | |
天塩川沿いにも出ます。 上流はもちろん下流の物満内や北海道命名地にも足跡が多数 その地に行く時は賑やかに鈴や爆竹を鳴らすのがいいのですがラジオなど大きな音をだしてください。ばったり出会わないことを願うばかりです。 最近はガイドや釣り人もクマよけスプレー常備する方も多くなりました。 | |
きつね | |
·エキノコックスが寄生したキツネやその糞に直接さわったり、その糞に汚染された山菜や土等を触った手で食事をしたり、沢水を熱に通さず飲んでしまうと感染する恐れがあります。 エキノコックスは卵が口から入って感染します。 かわいいからと言って、キツネにエサを与えたり、呼び寄せたり、手で触れることは絶対やめましょう。 体の表面にエキノコックスの卵をまとっている場合もあるので、触ったり近づいたりしないようにしましょう。 沢水や小川などの生水は、飲まないようにしましょう。 と言っても、沈したら否が応でも飲んでしまうので心配な方は保健所の検査を受けましょう· 予防のために大切なこと (ア)外から帰ったら必ず手を洗いましょう。 (イ)生ゴミなどキツネのエサになるものはきちんと保管・処分しましょう。 (ウ)野山の果実や山菜などを口にする場合は、良く洗うか十分熱を加えてから食べましょう。 (エ)エキノコックスの卵は熱に弱く、卵は1分以上の加熱で死滅します。 (オ)沈したら必ずうがいしましょう | |
マムシ | |
道北では僕は見たことがありませんが、一応北海道全域に生息していることになっています。 内陸部では札幌以北、日本海側では苫前以北、太平洋側では襟裳岬以東はあまり居ないようですが、道南にはいるようです。 毒性を持つマムシには注意しましょう。 ヘビを見かけたら、マムシの危険性が有るので近づかないようにしましょう。 ヘビが動かないときは、石や小枝などを投げて逃しましょう。 蛇に噛まれてときは 北海道にはヤマカガシはいませんので、マムシでなければ傷から出血していても消毒してください。もし、マムシであれば傷口から毒液を吸い出すか水で流しながら絞り出します。 ただ、口ではかなり強く、また続けて吸わければなりませんが、口ではあまり吸うことはできません。 毒はタンパク質なので飲んでしまっても問題はありませんが、唇が少し腫れることもあります。ポイズンリムーバーを使い傷の場所によって吸引器の先を換えて使いますといわれていますがあまり効き目はありません。 ヘビやハチの毒は速く拡散しますので、できるだけ早く吸引しなければ効果はありません。 毒を少しでも体外に出すことができれば、それだけ重症化を防ぐことが期待できます。 咬まれた部位を切って吸い出す人がいますが、これは神経を切ってしまったり、2次感染を起こしたりしますので絶対に自分で切ってはいけません。 毒の吸収拡散を遅らせるために、心臓に近い部位、指の付け根などを縛ることがあります。 確かに毒の吸収を遅らせることはできますが、一般の人はその強さがわからず、強く縛りすぎて血行を完全に止めてしまう恐れもあるので、今では緊迫することはすすめません。 すぐに応急処置して病院に搬送しましょう | |
蝮のこと 昔名古屋のそばの大きな三好池でカヌーの全国大会があったときの話し、 船台で女の子の悲鳴!「きゃー!!へびー」 すぐに現場に行くと北海道では見たことがない蛇! 何か棒でもないかと見回すと、受付の机の上にガムテープ・・・。 「おお、これはいい!」すぐにテープでぐるぐる巻きにして水の中に処理・・・ 蛇にとってはひどい話ですね。 それで事は終わったと思って悠々と後にしたのですが・・ 話はこれで終わるわけもなく・・ 後ろから「だれだー!!マムシにテープまいたやつは!!噛まれてたら、死んでるぞー!!」 と九州の監督のダミ声!! 「えっ!?えーーーー」ドキドキそのときまで「赤い蛇はマムシ」という事をスッカリ忘れていた、生粋の道産子でした。 本州にも住んでいた経験もあるのですがね。怖い怖い話です。 | |
植 物 | |
ウルシ ツタウルシは北海道から九州の日本各地、樺太・南千島・中国などにも分布する落葉のツル植物。気根を出して他の樹木の幹などをよじ登る。 地面を這っていることもあり、うっかり座るとお尻がかぶれてしまったりするので要注意。 紅葉は他のウルシ属と同様に美しく、秋の林を彩っている。葉は3枚の小葉からなり、頂小葉は5~15cm。雌雄異株で、6-7月に葉腋に小さな花を多数つける。花は黄緑色で花弁は長さ2.5~3mm。果実は扁球形で夏に熟し、縦筋がある。 有害成分は樹木全体にありますが、とにかく触らないことが肝要です。 触れると発疹、腫れ、痒み、激痛など様々な症状が出ます。そばにいるだけでもかぶれるそうです。接触後すぐに症状が出る場合もあれば、1~2日経過後に出る場合もあります。ハゼノキなどウルシの仲間も同様です。 この症状は、ウルシに毒があるのではなく、ウルシの成分に対して人体がアレルギー反応を起こすことによって現れるものです。 治療には、抗ヒスタミン軟膏を貼付します。 | |
ハリギリ | |
バラの刺を大きく長くした固い刺です。 山や林の中を歩くときに刺さります。対策は、長袖を着たり手袋をする等なるべく皮膚を覆うしかありません。 つまずいて転びそうになり触った時、顔をお上げた瞬間こすったり時、激痛に涙が出るほどでした。 | |
イラクサ | |
イラクサは細かい毛に葉や茎が覆われ、触れるとチクチクしたなんとも言えない痛みが広がり、赤く湿疹のようになることもあります。 イラクサは集まって生育していることも多く、そのような場所を歩くと刺はズボンの上からでも刺さってきます。 あの痒さは思い返しただけでもイライラします。 | |
トリカブト | |
日本には約30種が自生。【毒部位】全草。特に塊根に猛毒。 唇、腹部、皮膚などに灼熱感、またはアリがはいまわるような感覚があり、よだれ、嘔吐、めまい、下痢を起し、知覚および中枢麻痺を起こして歩行や呼吸が困難になり、昏睡状態になる。 死亡までに1~数時間。致死量は、トリカブトの根で約2~4g、成分であるアコニチンで約5mg。 上川の毒は十勝の毒より強力と言い伝えがあります。 | |
ドクウツギ(毒空木) | |
北海道・本州(近畿以北)の山地や河川敷や海岸の荒地などに自生。 コリアミルチン、ツチンなどの有毒成分を含む有毒植物。 【毒部位】全株・果実・茎・葉。 主な中毒症状は悪心、嘔吐、全身硬直、口唇紫変、瞳孔縮小などで、葉約24gが致死量。 | |
ドクゼリ | |
トリカブト、ドクウツギと並んで日本三大有毒植物。 北海道から九州の水辺に群生。【毒部位】全草・地下茎 毒性は強く成分は皮膚からも吸収される性質を持つ。口から泡を吹き、中枢神経が侵され、痙攣、めまい、嘔吐、皮膚の発赤が現れ、最後に呼吸麻痺を起こして死亡。子供の時、親父がよくセリを取ってくるので気が気ではありませんでした | |
ドクニンジン | |
北海道のほかに、東日本に生息する帰化植物。 【毒部位】全株・種子・根。 各種の毒性アルカロイドを含み、コニインの神経毒性の成分で中枢神経を興奮させ、のちに麻痺を起こし運動神経末梢を麻痺させ、その結果、よだれ・呼吸麻痺を起こして死亡。 | |
事故が起こった時のために | |
これまでは、危険から未然に防ぐための知識やチェックポイントについて述べてきました。 万が一、事故が起こった時に、被害を最小限に抑えるための発生時に備えた対策と、事故発生時の対処について考えましょう。 どんなに注意しても、やはり事故が起きることはあります。 その場合、初動が被害者を救済できるか否かを左右します。 救助者が最も気をつけなければならないことは、以下の3つのポイントです。 |
(1) 冷静になる 適正な判断ができなくなると、場合によっては被害を拡大してしまう恐れが あります。 |
(2) 自分自身の安全管理をする 体力のある大人や指導者の場合、意外と忘れがちですが、 2次災害を防ぐ為にも、十分に注意が必要です。 |
(3) 被害者以外の人たちの安全管理をする。 どうしても被害者の方に目を奪われがちですが、まずは、それ以外の人たちの安全管理を十分に徹底したうえで救助に向かう必要があります。 |
事故が発生した場合大会では次のように対処します。 |
1 岩礁等に衝突や転覆により、負傷者本人あるいは同乗者等が医師の救護を必要と認めたときは、近くの伴漕スタッフにその旨を伝えるとともに、応急の救護措置を行うこと。 2 スタッフは直ちに緊急無線(または、携帯電話)で、事故発生地点、事故概要、負傷者名及びゼッケン番号を告げ、無線部を中継してドクター(車)呼ぶこと。 3 最初に事故現場を確認したスタッフは事故状況を速やかに大会長、競技部長、レスキュー部長に報告(携帯電話、緊急一斉無線)すること。 |
緊急連絡一覧 |
万が一の時のために作成しておくことが大切です。 活動の場所や内容等にもよりますが、連絡先は事前に調べてリスト化しておきたいものです。 大会で連絡経路は次のようなものです。 |
いざと言う時のために、消防署や日本赤十字社などで実施している止血法、心肺蘇生法などの救急処置トレーニングを受けておきたいものです。 また、使用施設の防災訓練などへも積極的に参加しましょう。 以下は、基本的な対処法を簡単に示したものですが、必ず事前にトレーニング等を受け、詳細を学んでおくことが必要です。 |
傷病者を速やかに救助し、正しい応急手当をして、医師に渡すまでが救急法の範囲です。 |
《手当ての基本》 |
(1) 傷病者の観察 ・話しかけ、直接触れてみて、脈拍の状態や熱の有無を調べます。 ・意識、呼吸、脈拍、顔色、大出血の有無を調べます。 ・傷、出血、骨折、打撲、痛みなどの有無と状態(部位、程度)、手足が動くかどうか、傷や病気の起こり方などをよく観察します。 ・意識がある場合は、事故発生状況を傷病者に尋ね、参考にします。 ・多数の傷病者がいる場合は、緊急性の高い重傷者を優先します。 |
(2) 傷病者の寝かせ方 状態や傷に応じて、回復体位など最も良い姿勢を保つことが必要です。 |
(3) 保温、加温 体温を保ちます。必要に応じて加温しますが、発汗させてはいけません。 |
4) 飲食物 原則としてビクテムに飲食物は与えてはいけません。特にアルコールは禁物です。 また、傷病者を力づけ安心させることも大切なことです。 できるだけ傷病者に血液や傷や嘔吐物を見せたりせず、動揺させないように注意しましょう。また、状態を悪化させないためには安静が必要です。手荒な接し方をするのは避けましょう。 |
意識が障害され、あるいは呼吸・循環機能が著しく低下または停止し、まさに生命が失われようとしている者に対し、気道を確保し、必要に応じて人工呼吸と心臓マッサージを行い、応急的に傷病者の生命の維持を図る手当ての事です。 |
心肺蘇生法 |
気道確保・人工呼吸・心臓マッサージから成ります。ビクテムの意識がなく、気道を確保しても普段どおりの呼吸をしていない場合は、「人工呼吸2回→心臓マッサージ30回+人工呼吸2回」を行います。 (以前、心臓マッサージは15回でしたが国際基準に変更しています。人工呼吸に抵抗がある場合は、マッサージだけでも可と変更になっています。) また8歳未満の子どもの場合は方法(回数等)が変わりますし、高齢者の場合の注意点などもあります。消防署や日本赤十字社の講習会を受講しておきましょう。 |
AED |
● 心肺蘇生法を行っている途中で、AEDが届いたらすぐにAEDを使う準備を始めてください。 ● AEDにはいくつかの種類がありますが、どの機種も同じ手順で使えるように設計されています。 ●電源が入ると音声メッセージとランプで、実施すべきことを指示してくれますので、落ち着いて、従ってください ●AEDは、成人(約8歳以上)はもとよりですが、小児(約1歳以上約8歳未満)にも使用できます。ただし1歳未満の乳児に対しては、使用できません。 |
止血法 |
直接圧迫止血法と間接圧迫止血法があります。直接圧迫止血法は、傷口に清潔なガーゼやハンカチを直接強く押し当てる方法です。傷の真上にガーゼなどを当てて、5分間は途中で絶対に開けずにしっかりと押さえて下さい。出血が止まったら、清潔なタオル等に変えて病院へ行きます。 直接圧迫止血法で止まらない場合は、間接圧迫止血法で処置を行います。 間接圧迫止血法は、傷口より心臓に近い動脈を指や手で圧迫して血液の流れを止めます。それでも出血が止まらない場合は、直接圧迫止血法と間接圧迫止血法とを併用して止血します。血液には決して触れぬよう、手袋またはレジ袋などを利用することが必要です。 |
保険に関する事項 |
活動中に何らかの事故が起き、身体・財産に損害が発生した場合、誘った仲間や友達でも法律上、道義上の責任を負うことがあります。 保険に加入することは、単なる金銭的リスクヘッジの方策にとどまらず、家族への責任というべきかもしれません。 具体的には「傷害保険=仲間や同行者が事故にあった場合、死亡保障や入院・通院費などを保障する保険」や「賠償責任保険=事故の原因としてミス、被害者から損害賠償請求をされたときに適用される保険」への加入が必要です。 いずれも保障内容や保障金額、加入方法(単発加入、年間加入など)が異なるものが多数ありますので、保険会社に相談してみましょう。 |
さあこれでセルフレスキュー知識編が終わりました 次は技術編に進んで実際のレスキュー方法を一緒に考えましょう |